高校数学Ⅰで学習する2次関数の単元から
「\(f(x)>g(x)\) の範囲の求め方」
について解説していきます。
この問題では、
「すべての実数 \(x\) について」
「ある実数 \(x\) について」
「すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して」
「ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して」
といった表現が出てきます。
これらの違いについて理解した上で、どのように問題を解いていけばよいのか考えていきましょう。
今回取り上げる問題はこちらです。
【問題】
区間 \(-2≦x≦2\) で2つの関数 \(f(x)=(x-1)^2\), \(g(x)=-2x^2-4x+a\) を考える。次の \(a\) の値の範囲を求めよ。
(1)すべての実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
(2)ある実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
(3)すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
(4)ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
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問題(1)すべての実数\(x\) に対して
【問題】
区間 \(-2≦x≦2\) で2つの関数 \(f(x)=(x-1)^2\), \(g(x)=-2x^2-4x+a\) を考える。次の \(a\) の値の範囲を求めよ。
(1)すべての実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
すべての実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立するというのは、
区間の中において、同じ \(x\) 座標のところを比べると \(f(x)\) の方が \(g(x)\) よりも上にあるということを意味します。
なので、ここでは \(f(x)-g(x)\) の関数を考え、
この関数の区間内においての最小値が正であれば、
\(f(x)\) が常に上にあるということが言えます。
したがって、
$$\begin{eqnarray}&&f(x)-g(x)\\[5pt]&=&(x-1)^2 -(-2x^2-4x+a)\\[5pt]&=&x^2-2x+1+2x^2+4x-a\\[5pt]&=&3x^2+2x+1-a\\[5pt]&=&3\left(x^2+\frac{2}{3}x\right)+1-a\\[5pt]&=&3\left(x+\frac{1}{3}\right)^2+\frac{2}{3}-a\end{eqnarray}$$
\(-2≦x≦2\) の区間において、最小値は \(\frac{2}{3}-a\) となる。
よって、
$$\begin{eqnarray}\frac{2}{3}-a&>&0 \\[5pt]a&<&\frac{2}{3}\cdots(解)\end{eqnarray}$$
問題(2)ある実数 \(x\) に対して
【問題】
区間 \(-2≦x≦2\) で2つの関数 \(f(x)=(x-1)^2\), \(g(x)=-2x^2-4x+a\) を考える。次の \(a\) の値の範囲を求めよ。
(2)ある実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
ある実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立するというのは、
区間の中において、同じ \(x\) 座標のところを比べたとき、1ヵ所でもいいから、\(f(x)\) が \(g(x)\) よりも大きくなっているところがあるということを表しています。
- すべての実数 ⇒ 常に成り立つ。
- ある実数 ⇒ そうなるような場所が1つでもあればよい。
このような違いになっています。
なので、ここでも \(f(x)-g(x)\) の関数を考え、
この関数の区間内においての最大値が正であれば、
\(f(x)\) が \(g(x)\) よりも上になっている部分があるということが言えます。
したがって、
$$\begin{eqnarray}&&f(x)-g(x)&=&3\left(x+\frac{1}{3}\right)^2+\frac{2}{3}-a\end{eqnarray}$$
\(-2≦x≦2\) の区間において、最大値は \(x=2\) のとき、\(17-a\) となる。
よって、
$$\begin{eqnarray}17-a&>&0 \\[5pt]a&<&17\cdots(解)\end{eqnarray}$$
問題(3)すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して
【問題】
区間 \(-2≦x≦2\) で2つの関数 \(f(x)=(x-1)^2\), \(g(x)=-2x^2-4x+a\) を考える。次の \(a\) の値の範囲を求めよ。
(3)すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立するというのは、
区間内のあらゆる座標を比べたとき、どこを比べたとしても\(f(x)\) が \(g(x)\) よりも上側にあるということを表しています。
(1)の問題では同じ \(x\) 座標のときで比べていましたが、
今回の問題では、同じ \(x\) 座標であるという縛りはありません。
となると、\(f(x)\) の最小値が \(g(x)\) の最大値よりも大きいならば、区間内のどこを比べても \(f(x)\) の方が上にあることになります。
というわけで、\(f(x)\) の最小値、\(g(x)\) の最大値をそれぞれ求めましょう。
\(f(x)=(x-1)^2\) であるから、\(x=1\) のとき最小値 \(0\)
\(g(x)=-2x^2-4x+a=-2(x+1)^2+2+a\) であるから、\(x=-1\) のとき最大値 \(2+a\)
したがって、
$$\begin{eqnarray}0&>&2+a\\[5pt]a&<&-2\cdots(解) \end{eqnarray}$$
問題(4)ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して
【問題】
区間 \(-2≦x≦2\) で2つの関数 \(f(x)=(x-1)^2\), \(g(x)=-2x^2-4x+a\) を考える。次の \(a\) の値の範囲を求めよ。
(4)ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立するというのは、
区間内のどこの座標を比べてもいいので、どこか1ヵ所でいいから \(f(x)\) の方が \(g(x)\) よりも上側になっていることを表しています。
これはちょっとイメージしずらいかもしれませんが(^^;)
上の画像のように、\(f(x)\) の最大値が \(g(x)\) の最小値よりも大きいならば、\(f(x)\) が上側になっている部分があるってことが言えます。
というわけで、\(f(x)\) の最大値、\(g(x)\) の最小値をそれぞれ求めましょう。
\(f(x)=(x-1)^2\) であるから、\(x=-2\) のとき最大値 \(9\)
\(g(x)=-2x^2-4x+a=-2(x+1)^2+2+a\) であるから、\(x=2\) のとき最小値 \(-16+a\)
したがって、
$$\begin{eqnarray}9&>&-16+a\\[5pt]a&<&25\cdots(解) \end{eqnarray}$$
まとめ!
お疲れ様でした!
最後にそれぞれの違いと考え方についてまとめておきましょう。
- すべての実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
⇒ \(f(x)-g(x)\) の最小値が正となる。
- ある実数 \(x\) に対して \(f(x)>g(x)\) が成立する。
⇒ \(f(x)-g(x)\) の最大値が正となる。
- すべての実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
⇒ \(f(x)\) の最小値 \(>\) \(g(x)\) の最大値
- ある実数 \(x_{1},x_{2}\) に対して \(f(x_{1})>g(x_{2})\) が成立する。
⇒ \(f(x)\) の最大値 \(>\) \(g(x)\) の最小値
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(1)の答えa<3分の2だと思います!
訂正しておきました!
ご指摘ありがとうございます!!
やっとわかった
上手く伝わったようでよかったです^^