高校数学Ⅰで学習する2次方程式の単元から
「2次方程式の共通解」
についての問題を解説していきます。
取り上げるのはこちらの問題です。
【問題】
(1)2つの2次方程式 \(x^2+kx+1=0 \cdots①\),\(x^2-x-k=0\cdots②\) が共通な実数解をもつように定数 \(k\)の値を定めよ。また,このときの共通解を求めよ。
(2)\(k\)を0でない実数とする。2つの2次方程式 \(x^2-(k+1)x-k^2=0\cdots ①\) と \(x^2-2kx-k=0 \cdots②\) がただ1つの共通解をもつとき,\(k\) の値を定めよ。また,このときの共通解を求めよ。
2つの方程式の共通解について考える問題では、
共通解を \(x=α\) と文字で置いて、それぞれの方程式に代入する。
というのがポイントになります。
ここでよく疑問になるのが、
共通解を文字で置かずに \(x\) のまま計算してはダメですか?
というものです。
確かに \(x\) のまま計算を進めても答えを求めることはできます。
ですが、ここでいう \(x\)とは未知数のことですよね。\(x\)の正体が分からないから代わりに文字で置いてます…みたいな。
共通解を考えている場合には、未知数ではなく \(x\)の正体はハッキリとした値(\(x=α\))として考えていきます。
なので、このことを区別するために共通解を文字で置いて考えていくというのが定石というわけです。
問題(1)の解説!共通な実数解をもつように
【問題】
2つの2次方程式 \(x^2+kx+1=0 \cdots①\),\(x^2-x-k=0\cdots②\) が共通な実数解をもつように定数 \(k\)の値を定めよ。また,このときの共通解を求めよ。
まずは共通解を \(x=α\) と置き、それぞれの方程式に代入していきます。
\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
α^2 + kα+1 = 0 \cdots①’ \\
α^2 -α-k = 0 \cdots②’
\end{array}
\right.
\end{eqnarray} \)
代入して連立方程式が作れたら、それぞれの式を引いて\(α^2\) を消去します。
\(①’-②’\) を計算して \(α^2\) を消去。そして、因数分解をしていくと
$$\begin{eqnarray}kα+α+k+1&=&0\\[5pt](k+1)α+(k+1)&=&0\\[5pt](k+1)(α+1)&=&0 \end{eqnarray}$$
よって、\(k+1=0\) ⇒ \(k=-1\) または \(α+1=0\) ⇒ \(α=-1\) となります。
ここから、\(k=-1\) と \(α=-1\) の場合で分けて考えていきます。
まずは、\(k=-1\) のとき
①②の方程式にそれぞれ代入すると、ともに \(x^2-x+1=0\) となります。
これは判別式\(D\)を用いると
\(D=(-1)^2-4=-3<0\) となり実数解を持たないことが分かります。
よって、問題の条件を満たさないので、\(k=-1\) は不適となります。
次に、\(α=-1\) のとき
①’②’にそれぞれ代入すると、ともに \(k=2\) となります。
\(k=2\) を①に代入して解を求めると
$$\begin{eqnarray}x^2+2x+1&=&0\\[5pt](x+1)^2&=&0\\[5pt]x&=&-1 \end{eqnarray}$$
\(k=2\) を②に代入して解を求めると
$$\begin{eqnarray}x^2-x+2&=&0\\[5pt](x-2)(x+1)&=&0\\[5pt]x=2,-1&& \end{eqnarray}$$
よって、2つの方程式の共通解は \(x=-1\) であると分かりました。
以上より
\(k=2\), 共通解 \(x=-1\)
問題(2)の解説!ただ1つの共通解をもつ
【問題】
\(k\)を0でない実数とする。2つの2次方程式 \(x^2-(k+1)x-k^2=0\cdots ①\) と \(x^2-2kx-k=0 \cdots②\) がただ1つの共通解をもつとき,\(k\) の値を定めよ。また,このときの共通解を求めよ。
(1)との違いは「ただ1つの共通解」という点です。
なので、共通解が2つある場合には条件に合わなくなり不適となります。
まずは共通解を \(x=α\) と置いて①②それぞれの方程式に代入しましょう。
\(\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
α^2 -(k+1)α-k^2 = 0 \cdots①’ \\
α^2 -2kα-k = 0 \cdots②’
\end{array}
\right.
\end{eqnarray} \)
ここから①’-②’を計算して\(α^2\) を消去。そこから因数分解をしていくと
$$\begin{eqnarray}(k-1)α-k(k-1)&=&0\\[5pt](k-1)(α-k)&=&0\end{eqnarray}$$
よって、\(k-1=0\) ⇒ \(k=1\) または \(α-k=0\) ⇒ \(α=k\) となります。
ここから、\(k=1\) と \(α=k\) の場合で分けて考えていきます。
まずは、\(k=1\) のとき
①②の方程式にそれぞれ代入すると、ともに \(x^2-2x-1=0\) となります。
このときそれぞれの共通解は \(x=1\pm\sqrt{2}\) となり
共通解が2つ存在することになります。
これは、条件である「ただ1つ」に合わないので \(k=1\) は不適となります。
次に、\(α=k\) のとき
②’にそれぞれ代入すると、
$$\begin{eqnarray}k^2-2k^2-k&=&0\\[5pt]-k^2-k&=&0\\[5pt]k(k+1)&=&0\\[5pt]k=0,-1&& \end{eqnarray}$$
ただし、\(k\) は0でないので、\(k=-1\) となります。
\(k=-1\) を①に代入して解を求めると
$$\begin{eqnarray}x^2-1&=&0\\[5pt](x+1)(x-1)&=&0\\[5pt]x&=&-1,1 \end{eqnarray}$$
\(k=-1\) を②に代入して解を求めると
$$\begin{eqnarray}x^2+2x+1&=&0\\[5pt](x+1)^2&=&0\\[5pt]x=-1&& \end{eqnarray}$$
よって、2つの方程式の共通解は \(x=-1\) のただ1つであると分かりました。
以上より
\(k=-1\), 共通解 \(x=-1\)
まとめ!
お疲れ様でした!
共通解を考える問題では以下の点に気を付けてくださいね。
- 共通解を文字で置くこと
- それぞれの方程式を連立して、~または~の形を作る
- 場合分けして問題の条件に合うかどうかをチェックする
- 「共通解をもつ」「ただ1つの共通解をもつ」細かい違いに注意する
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