【絶対不等式】パターン別の例題を使って解き方を解説!

高校数学Ⅰで学習する2次不等式の単元から

「絶対不等式の解き方」

について解説していきます。

 

絶対不等式とは、どのような値をとっても成り立つ不等式のことをいいます。

そして、この絶対不等式を利用した次のような問いがよく出題されます。

すべての実数\(x\)について成り立つような定数\(k\)の範囲を求めよ。

 

では、今回の記事では絶対不等式を利用した問題をパターン別に例題を用いて解説していきます。

絶対不等式の問題を考える上でのポイントは以下の通りです。

 

今回の内容はこちらの動画でも解説しています!

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絶対不等式の問題(グラフの形が決まっている)

【問題】

すべての実数 \(x\) について,2次不等式 \(x^2+2kx-3k+4>0\) が成り立つような定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。

\(x^2\) の係数が正であることから、グラフの形が下凸の放物線であることは簡単に読み取れますね。

そして、このグラフが常に「\(>0\)」となるのは、

このように、\(x\)軸の上側にあればよい。

つまり、\(x\)軸との共有点を持たなければよいってことが読み取れます。

よって、判別式の値が負となる範囲を求めていきましょう。

 

 

【問題】

すべての実数 \(x\) について,2次不等式 \(-x^2+mx+2m<0\) が成り立つような定数 \(m\) の値の範囲を求めよ。

今回の問題では、\(x^2\)の係数が負となるので、

常に「\(<0\)」となるためには、次のように考えていきましょう。

 

絶対不等式の不等号が「\(≧, ≦\)」のときには、次の例題のように判別式が「\(≧0、≦0\)」となることに気を付けてくださいね。

【問題】

すべての実数 \(x\) について,2次不等式 \(x^2-2x≧kx-4\) が成り立つような定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。

まずは不等式を整理して、右辺が0になるようにしましょう。

$$\begin{eqnarray}x^2-2x&≧&kx-4\\[5pt]x^2-(2+k)x+4&≧&0 \end{eqnarray}$$

下凸のグラフで「\(≧0\)」となるには、\(x\)軸との共有点は0個または1個となればOKです。

よって、判別式は「\(D≦0\)」となればよいですね。

 

$$\begin{eqnarray}D&=& (2+k)^2-4\cdot4\\[5pt]&=&4+4k+k^2-16\\[5pt]&=&k^2+4k-12\\[5pt]&=&(k+6)(k-2)≦0\\[5pt]&&-6≦k≦2\cdots(解)\end{eqnarray}$$

 

以上のように、グラフの形が決まっているときには、\(x\)軸との共有点の個数を考えて判別式を計算していけばよいですね!

楽勝、楽勝~♪

絶対不等式の問題(グラフの形を判断する)

【問題】

すべての実数 \(x\) について,2次不等式 \(kx^2+(k+1)x+k+1>0\) が成り立つような定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。

今回の問題では、\(x^2\)の係数が文字になっているため、不等号の向きからグラフの形を判断する必要があります。

「\(\cdots >0\)」になるためには、

このような条件を満たす必要があります。

 

条件が読み取れたら、あとは判別式を使って計算していきましょう。

 

 

【問題】

すべての実数 \(x\) について,2次不等式 \(kx^2+(k+1)x+2k-1<0\) が成り立つような定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。

「\(\cdots <0\)」になるためには、

このような条件を満たす必要があります。

 

条件が読み取れたら、あとは判別式を使って計算していきましょう。

 

以上のように、\(x^2\)の係数が文字となっている場合には、

判別式だけでなく、グラフの形も判断し、2つの条件を組み合わせて範囲を求めていくようになります。

絶対不等式の問題(1次、2次不等式の場合分け)

【問題】

すべての実数 \(x\) について,不等式 \(ax^2-2\sqrt{3}x+a+2≦0\) が成り立つような定数 \(a\) の値の範囲を求めよ。

あれ、さっきの問題と何が違うの?

と思った方もいるかもしれませんが、問題文をよく見てみると…

「不等式 \(ax^2-2\sqrt{3}x+a+2≦0\)」

と記述されており、今までのように「2次不等式」と書かれていません。

つまり、\(ax^2-2\sqrt{3}x+a+2≦0\) は\(x^2\) の係数が0となり、1次不等式となる場合も考える必要があるということです。

 

というわけで、

  • \(a=0\) ⇒ 1次不等式になる場合
  • \(a≠0\) ⇒ 2次不等式になる場合
この2パターンで場合分けして考えていきましょう。

1次不等式になる場合、すべての実数 \(x\) について不等式を成り立たせることができないので不適。

 

そして、2次不等式になる場合。

「\(≦0\)」を満たすためには上のような条件となります。

 

よって、計算を進めていくと、

 

【問題】

すべての実数 \(x\) について,不等式 \((k-2)x^2+2(k-1)x+3k-5>0\) が成り立つような定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。

\(x^2\) の係数 \((k-2)\) が0になる場合、そうでない場合で分けて考えていきましょう。

 

以上のように、問題文の記述をよく見て「不等式」としか書かれていない場合には、\(x^2\)の係数が0になり、1次不等式となる場合も考えていくようにしましょう。

 

まとめ!

お疲れ様でした!

絶対不等式を利用した問題は、グラフを使ってイメージ図を書いてみることが大事ですね。

常に「\(>0\)」ってどういうことだろう?

グラフにしてみるとどんなイメージかな?

って感じでグラフをかいてみると簡単に条件を読み取ることができますよ。

 

また、与えられている不等式が「2次不等式」なのか。

それとも、ただの「不等式」なのか。

ここも大きな違いとなってくるので、問題文をよく見るようにしておいてくださいね!

 

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3 件のコメント

  • しましま より:

    x^2-2x≧kx+4の問題のDの範囲ってD≧0じゃなくてD≦0じゃないんですか?
    D≧0だと共有点が1つか2つになると思うのですが…

    • 数スタ運営者 より:

      おっしゃる通りです…
      間違えていたので訂正しておきました!
      ご指摘ありがとうございますm(__)m

      • しましま より:

        よかったです!
        いえいえ!参考になりました!

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