今回の記事では、高校数学Ⅰで学習する集合と命題の単元から
「背理法による証明の解答例」
についてまとめておきます。
背理法による証明って、
あれ、どんな手順で解くんだっけ?(^^;)
と忘れてしまいがちです。
そんなときのために、この記事ではいろんなパターンの解答例をまとめておきます。
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背理法による証明の手順
- 結論の否定を仮定する。
- 仮定に応じて、条件を式で表す。
- 矛盾を導く。
背理法による証明は「無理数である」ことの証明に使われることが多いです。
無理数とは「有理数でない数」のことであり、
このような「~でない」や「少なくとも~」を証明する際には、背理法が役に立ちます。
背理法(ルート2、ルート3の証明)
【問題】
\(\sqrt{2}\)は無理数であることを証明せよ。
ただし,\(n\)を自然数とするとき,\(n^2\)が2の倍数ならば \(n\) は2の倍数であることを用いてよい。
【解答】
\(\sqrt{2}\) が有理数であると仮定すると
\(\sqrt{2}=\frac{m}{n}\) (\(m,n\) は互いに素な自然数) とおける。
両辺を二乗し,式を変形すると,\(2n^2=m^2 \cdots①\) となる。
このとき,\(n^2\) は整数だから,\(m^2\) は2の倍数である。
よって,\(m\)は2の倍数となる。
\(m=2k\)(\(k:整数\)) とおくと,①より
$$\begin{eqnarray}2n^2&=&(2k)^2\\[5pt]n^2&=&2k^2 \end{eqnarray}$$
\(k^2\) は整数であるから,\(n^2\) は2の倍数である。
よって,\(n\)は2の倍数となる。
ゆえに,\(m,n\) ともに2の倍数となり,互いに素であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{2}\) は無理数である。
【問題】
\(\sqrt{3}\)は無理数であることを証明せよ。
ただし,\(n\)を自然数とするとき,\(n^2\)が3の倍数ならば \(n\) は3の倍数であることを用いてよい。
【解答】
\(\sqrt{3}\) が有理数であると仮定すると
\(\sqrt{3}=\frac{m}{n}\) (\(m,n\) は互いに素な自然数) とおける。
両辺を二乗し,式を変形すると,\(3n^2=m^2 \cdots①\) となる。
このとき,\(n^2\) は整数だから,\(m^2\) は3の倍数である。
よって,\(m\)は3の倍数となる。
\(m=3k\)(\(k:整数\)) とおくと,①より
$$\begin{eqnarray}3n^2&=&(3k)^2\\[5pt]n^2&=&3k^2 \end{eqnarray}$$
\(k^2\) は整数であるから,\(n^2\) は3の倍数である。
よって,\(n\)は3の倍数となる。
ゆえに,\(m,n\) ともに3の倍数となり,互いに素であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{3}\) は無理数である。
ポイント!
- 有理数と仮定して,互いに素である整数による分数の形で表す。
- 互いに素であることの矛盾を引き出す。
背理法(無理数であることの証明)
【問題】
\(\sqrt{2}\)が無理数であることを利用して,\(\sqrt{2}+2\)が無理数であることを証明せよ。
【解答】
\(\sqrt{2}+2\) が有理数であると仮定すると,
\(\sqrt{2}+2=r\) (\(r\) は有理数) とおける。
左辺が\(\sqrt{2}\) だけになるよう整理すると,
\(\sqrt{2}=r-2\) となる。
このとき,\(r-2\) は有理数となるため,左辺の\(\sqrt{2}\) が無理数であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{2}+2\) は無理数である。
【問題】
\(\sqrt{2}\)が無理数であることを利用して,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\)が無理数であることを証明せよ。
【解答】
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\) が有理数であると仮定すると,
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}=r\) (\(r\) は有理数) とおける。
左辺が\(\sqrt{3}\) だけになるよう整理し,両辺を二乗すると
$$\begin{eqnarray}\sqrt{3}&=&r+\sqrt{2}\\[5pt]3&=&r^2+2r\sqrt{2}+2\\[5pt]2r\sqrt{2}&=&r^2-1 \end{eqnarray}$$
\(r≠0\) より,両辺を\(2r\) で割ると
$$\sqrt{2}=\frac{r^2-1}{2r}\cdots①$$
となる。
このとき,\(r^2-1\), \(2r\) は有理数だから,①の右辺は有理数となる。
このことは,\(\sqrt{2}\) が無理数であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\) は無理数である。
【問題】
\(\sqrt{6}\)が無理数であることを利用して,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\)が無理数であることを証明せよ。
【解答】
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\) が有理数であると仮定すると,
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}=r\) (\(r\) は有理数) とおける。
両辺を二乗すると,
$$\begin{eqnarray}(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2&=&r^2\\[5pt]5+2\sqrt{6}&=&r^2\\[5pt]2\sqrt{6}&=&r^2-5\\[5pt]\sqrt{6}&=&\frac{r^2-5}{2} \cdots①\end{eqnarray}$$
このとき,\(r^2-5\) は有理数だから,①の右辺は有理数となる。
このことは,\(\sqrt{6}\) が無理数であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\) は無理数である。
【問題】
\(\sqrt{6}\)が無理数であることを利用して,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{6}\)が無理数であることを証明せよ。
【解答】
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{6}\) が有理数であると仮定すると,
\(\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{6}=r\) (\(r\) は有理数) とおける。
左辺が\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\) だけになるよう整理し,両辺を二乗すると
$$\begin{eqnarray} \sqrt{2}+\sqrt{3}&=&r-\sqrt{6}\\[5pt]5+2\sqrt{6}&=&r^2-2r\sqrt{6}+6\\[5pt](2+2r)\sqrt{6}&=&r^2+1 \end{eqnarray}$$
\(r>0\) より,\(2+2r≠0\) なので,両辺を\(2+2r\) で割ると
$$\sqrt{6}=\frac{r^2+1}{2+2r}\cdots①$$
となる。
このとき,\(r^2+1\), \(2+2r\) は有理数だから,①の右辺は有理数となる。
このことは,\(\sqrt{6}\) が無理数であることに矛盾する。
したがって,\(\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{6}\) は無理数である。
ポイント!
- 両辺を二乗するとき,問題で与えられたルートが残るように式変形をする。
背理法(結論が「かつ」)
【問題】
\(a,b\) を有理数とする。
\(a+b\sqrt{2}=0\) ならば \(a=0\) かつ \(b=0\) であることを示せ。
【解答】
\(b≠0\) と仮定する。
$$\begin{eqnarray}a+b\sqrt{2}&=&0\\[5pt]\sqrt{2}&=&-\frac{a}{b}\cdots①\end{eqnarray}$$
\(a,b\) が有理数であるから,①の右辺は有理数となる。
このことは,\(\sqrt{2}\)が無理数であることに矛盾する。
よって,\(b=0\) となる。
これを \(a+b\sqrt{2}=0\) に代入すると,\(a=0\) となる。
したがって,\(a,b\) が有理数のとき
\(a+b\sqrt{2}=0\) ならば \(a=0\) かつ \(b=0\)
【問題】
\(x,y\) を実数とする。
\(x^2+y^2=0\) ならば \(x=0\) かつ \(y=0\) であることを示せ。
【解答】
\(x≠0\) と仮定する。
\(x≠0\) のとき,\(x^2>0\) となるので
\(x^2+y^2=0\) より \(y^2=-x^2<0\) となる。
これは \(y\) が実数であることに矛盾する。
よって,\(x=0\) となる。
これを \(x^2+y^2=0\) に代入すると,\(y=0\) となる。
したがって,\(x,y\) が実数のとき
\(x^2+y^2=0\) ならば \(x=0\) かつ \(y=0\)
ポイント!
- 結論が「かつ」の場合,どちらか一方の条件の否定を仮定して証明を進めていく。
まとめ!
お疲れ様でした!
背理法による証明は、パッと見では難しそうに見えますが、
ある程度の型を身につけてしまえば楽勝です(^^)
今回紹介したパターンを何度も練習して、型を身につけておいてくださいね!
高校1年生の数学の勉強のコツを教えてください。
予習、復習のサイクルを回しまくることですね!
ないすすぎや!